家具の塗装には、いろいろな種類があるってご存じでしたか?
実は、塗装によって家具の使い方やメンテナンスの仕方が変わってくるんです。
今回は、代表的な「オイル塗装」「ラッカー塗装」「ウレタン塗装」の3タイプの塗装と、古くから使われている「シェラック」という塗装をご紹介していきますので、家具選びの参考にしてみてください。
はじめに…塗装の役割
①木の保護・・・塗装をしていない木そのままの状態だと、水分がしみ込んで汚れたり、キズがつきやすかったりします。
②美しく見せる・・・塗装をするとツヤがでて、木目を美しく際立たせてくれます。
家具の塗装①ーオイル塗装
オイル塗装は、表面に膜を張らない、木本来の風合いを生かした塗装です。
植物性のオイルを木の表面から浸透させ、オイルが内部で固まることで塗膜の代わりにします。
オイル塗装は塗膜がないので、キズや汚れはつきやすいです。例えば、コースターを使わずにコップを置いておくと輪じみができやすかったりします。
また、水拭きをするとオイル成分が抜けてくるため、1年おきなど定期的にオイルを塗りこむ必要があります。
ただ、汚れや傷ができても表面を削ってオイルを塗りなおせば、家具屋さんに頼まず自分で簡単に修理ができます。
またお手入れをして使い続けると、だんだんとツヤが出てきて風合いが変わってくるのを楽しめます。
家具の塗装②―ラッカー塗装
ラッカー塗装は、樹脂をアルコールなどで溶かしたものを塗り、アルコールが揮発すると木の表面に薄い膜ができる塗装です。
ラッカー塗装は塗膜がとても薄く、スプレーガンなどで何回も重ねて塗ることで、表面のキズを防ぐ膜を作ります。耐水性のある塗膜のおかげで、結露したコップなどもすぐに水を拭き取ればシミになることはありません。
塗膜のおかげで汚れやキズはつきにくくなる一方で、木のさらさらとした肌触りも残り、木そのものの素材感も楽しめます。
またオイル塗装のように定期的なメンテナンスも必要ありません。
ただ、もともとアルコールなどに溶かしている塗料なので、市販のアルコール消毒を使うと塗装が溶けてしまいます。
また、オイル塗装のように素人でも簡単に塗りなおせる塗装ではないので、キズや汚れを修理したいときは家具屋さんにお願いした方がよいでしょう。
家具の塗装③―ウレタン塗装
ウレタン塗装は、ポリウレタン樹脂を吹き付けて、木の表面に堅い塗膜をつくる塗装です。
木の表面に分厚い塗膜ができるので、キズや汚れにとても強く、水のついたコップや熱い飲み物を入れたマグカップを直接置いても大丈夫です。(お鍋は、さすがに鍋しきを敷くことをオススメします。)
また工場で大量生産ができるため、価格を安価に抑えやすい塗装です。
ただ、表面に分厚い塗膜ができるので、手触りもツルツルとして、木本来の手触りは感じられなくなります。
また、ウレタン塗装は専門の工場で行われるため、キズがついてもどの家具屋さんでも修理できるわけではありません。修理費用も高くなるため、もともと安価な家具の場合は、修理というより買い替えることになってしまいます。
ラッカー塗装と同じく、定期的なメンテナンスは必要ありません。
アルコール消毒は、水に強いので大丈夫かと思われがちですが、実はウレタン塗装もアルコールには強くありません。お手入れは、食器用洗剤など、界面活性剤を薄めたもので拭くことをオススメします。
家具の塗装④―シェラック
シェラックとは、カイガラムシから作られる自然素材のニスで、アンティーク・ヴィンテージ家具や楽器などに古くから使われてきた塗料です。
ツヤがあり、風合いがとてもよく仕上がるため、本物志向の方にはオススメの塗料です。
また、シェラックは天津甘栗の光沢剤や、チョコボールのコーティング、錠剤の薬など、様々な食品に使われています。人体無害な自然由来の塗料で、たとえ赤ちゃんが家具をなめてしまったりしても他の塗料よりは安心感があります。
ラッカー塗装と同じく塗膜ができるので、多少の水分ならすぐに拭き取ればシミになることはありません。
しかし、前に紹介した3つの塗装と違って、シェラック塗装の家具は今では珍しいです。
シェラックは、ラッカー塗装に似ていますが、ラッカー塗装のようにスプレーガンを使うのではなく、ハケや布を使って手作業で塗装することが多く、塗装に手間がかかります。それゆえ使われることも少なくなり、ヴィンテージ家具の塗装というイメージが強いです。
ただ弊社では、シェラック塗装の家具を扱っておりますので、ぜひのぞいてみてください。
まとめ
まとめると、下の表のようになります。
塗装 | オイル塗装 | ラッカー塗装 | ウレタン塗装 | シェラック |
素材感 | 木本来の質感 | 木本来の質感に近い | ツルツルして木らしくない | アンティークのような重厚な質感 |
お手入れ | 定期メンテナンスが必要 | 不要 | 不要 | 不要 |
キズ・汚れ | とても汚れやすい | 汚れやすい | 汚れにくい | 汚れやすい |
アルコール消毒 | オイルの塗り直しが必要 | 塗装が溶ける | 少しずつ塗装が溶ける | 塗装が溶ける |
オススメ | メンテナンスが必要だが、木そのものの素材感を楽しみたい方にオススメ | 木の質感を楽しみたいけれど、メンテナンスに不安がある方にオススメ | 素材そのものの質感より「利便性」を重視される方にオススメ | アンティークのような光沢のある質感を楽しみたい方にオススメ |
いかがだったでしょうか?
意外と塗装によって、家具の質感や購入後の使い方が変わってきます。
今回の情報を参考に、ぜひご自分にぴったりの家具を探してみてください♪
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